読書感想文「新しい道徳」~北野 武 著
先週、北野武 氏 著の「新しい道徳」という本を読み終えました。本屋へ行ったとき、平積みされているのが目に入って買ったので、新刊本だと思います。
北野 武 氏といえば誰もが知る有名人ですが、その肩書きを「コメディアン」だの「タレント」だの「映画監督」だの(著者風の表現)言われるのをご本人は嫌うでしょうから、以後「著者」と称します。
恐らく著者は現在の教育現場で使用されている「道徳」のテキストを読む機会があり、それに違和感を持たれたんでしょうね。
著者のイメージ(私の勝手な・・・)から、その内容は過激なものかと想像していたのですが、いちいちごもっともな内容で共感する部分が多かったですね。(著者は前書きで、「鵜呑みにするな!」と釘を刺していますが。)
要するに、「道徳」というものは時代によって変わるものなのに、それを物知り顔で子供たちに押し付けてもいいのか?ということでしょう。その時々の施政者の都合が大きく反映されるのが「道徳」であって、それは決して普遍的なものではないと。
小学校に建っている、薪を背負い読書しながら歩く「二宮金次郎」像を模範として崇めながら、一方で「歩きスマホ」をする女子高生を批判するという社会矛盾を子供たちにどう説明するのか?みたいな件には、笑えました。
著者は、「道徳」のテキストを批判することで、今の日本の有様を憂いているんだなぁという感じがしました。
我々「昭和世代」が読むと「お説ごもっとも!」と思えるでしょうし、逆に若い連中が読めば「親爺たちの考え方の基礎」みたいなものが垣間見えそうですから、面白い本といえるんじゃないでしょうか?もし、チャンスがあれば是非ご一読を。著者の個性はしっかり出ていますから。。。