読書感想文「風の中のマリア」
先日、百田尚樹氏著の「永遠の0」を読んだ感想を書かせていただきましたが、その後「モンスター」、そして昨夜「風の中のマリア」を読み終えました。
氏の作品はどれも、知らない世界を教えてくれ、大変ためになります。「永遠の0」では零戦のパイロットの一兵卒としての壮絶な人生を、「モンスター」では整形手術によって美しく変貌した女の世間に対してのリベンジを、そしてこの「風の中のマリア」では、オオスズメバチの短く儚い生涯を・・・
ためになるばかりでなく、テンポと言いますか、大変読みやすいので一気に読めてしまいます。氏曰く、それは「放送作家」という職業柄だそうです。
日常、我々がオオスズメバチに遭遇することはほとんどありません。もし遭遇しようもんなら、それは相当に「ヤバイ」状況でしょう。本作でもオオスズメバチの生態が克明に記されており、更にオオスズメバチと鉢合わせしたくないという気持ちにさせられました。
オオスズメバチの働き蜂(ワーカー)はほんの一月ほどしか生きられないそうですが、その間に餌を狩り、妹たちを育て、自らの帝国(巣)の繁栄と、子孫継承のため完全燃焼します。女王蜂のみならずワーカーはすべて雌で、オオスズメバチの世界に雄はほとんど存在価値がないそうです。
雌に生まれながら大半のワーカーは生殖活動をせず(つまり、色恋沙汰は皆無ということです。)、本能的とは言え、盲目的に自らのファミリーのため身を粉にして働き、人知れず死んでいく。考えさせられますよね?
一方で、自らの存続のため他種の蜂を含め虫という虫を問答無用で殺し殲滅させて、餌にしてしまう。。。自然の摂理とは恐ろしいものです。
あまり書きすぎるとお楽しみがなくなるので・・・読み物としても非常に興味深いので、是非ご一読を。