小薮浩二郎氏 著 「食品業界は今日も、やりたい放題」①
先日、小薮浩二郎さんという方が書かれた、「食品業界は今日も、やりたい放題」という本を拝読しました。
その中に「加工デンプン」についての記述がありましたので、でん粉に携わる者の端くれとして感想を述べたいと思います。
「加工デンプン」というのは、小学生の理科の時間に実験で抽出したような、主に穀物類に含まれる炭水化物であるでん粉を化学処理した製品の総称です。化学処理をする前のものを業界的には「生でん粉」と呼び、区別しています。生でん粉で身近なものでは、お菓子作りなどに使われるコーンスターチや、スーパーで売られている片栗粉は馬鈴しょのでん粉です。
「加工デンプン」は数年前から、カテゴリーが「食品」から「食品添加物」に変更されました。(「生でん粉はもちろん「食品」扱いです。)今まで、食品であったものが、食品添加物に変更されたという前例がなかったので(逆のパターンはあり得ましたが。)、その時は少々驚いたのを記憶しています。
日本で「食品添加物」というと、さも、「人体に有害」というイメージがありますね?
ではなぜ、「加工デンプン」が食品業界で多種使用されるのでしょうか?
それは、製品の機能性向上に欠かせないからです。一番分かりやすい例は、たとえば中華料理。トロトロのあんがのった料理、美味しいですよね?ご承知の通り、あのあんは片栗粉(馬鈴しょでん粉)でつけます。けど、料理を少しの時間放置したらあんが水っぽくなっていたという経験、ありませんか?そうなるとべちゃべちゃした美味しくなさそうな状態になり、興ざめです。
「生でん粉」は天然のものゆえに、水を加え加熱するとその水を抱き込み粘性を発現(膨潤)しますが、限界までくるとその水を一気に吐き出します。また、唾液などに含まれる酵素(アミラーゼ)によっても同じような状況になります。その現象を離水(老化)と呼び、中華料理のあんがだれた状態は離水がおこったことにより引き起こされます。 <続く>